RedmiがXiaomiから分化したというニュースは中華ガジェット好きな方は既に聞き及んでいると思います。
分化の発表当時、私は「いつものXiaomiの気まぐれか」と思い大して気に留めてもいなかったのですが、今回RedmiからK20とK20Proという2機種のスマートフォンがリリースされることになり、その詳細を見てこれはちょっとおかしいぞ。と思いはじめました。
これまでXiaomiのスマートフォンは、ハイエンドからミドルハイエンドまでは上位ブランドのXiaomiブランドとして、ミドルローエンドからローエンドは下位ブランドのRedmiから販売されており、きっちりと線引きがなされていました。
しかし、今回発表されたRedmi K20、K20Proはどこからどう見てもハイエンドモデルです。
性能面では今年3月に発売されたばかりの上位ブランドXiaomiのフラッグシップ機Mi9に匹敵し、機能面ではMi9を大きく凌駕する点まであるにも関わらず、価格は下位ブランドのRedmi水準で、Mi9よりも安くなっています。
ファンからしたら「ほんの数ヶ月前にそのメーカーを信じて最上位モデルを買ったのに、それと同等かそれ以上のものが下位ブランドであるはずのRedmiから安く発売される。」ことになり、Xiaomiを信じてMi9を買ったファンからしたら失望どころか怒りが湧いてくるレベルです。
しかし、その裏にはファンを切り捨てることになったとしても、このRedmi K20シリーズを発売せざるを得ない事情があったのではないでしょうか。
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Xiaomiがシェアを落としている理由 -イメージ戦略の失敗-
中国のスマートフォン市場において、Xiaomiはシェアを落とし続けています。
スマートフォンの購買者の大半は細かい性能は重視せず、イメージでどの機種を買うかを選びます。
各社ともイメージ重視の戦略を取り、CMに有名タレントを起用したり、街角で見かける広告には有名タレントがスマートフォンを手に持つ写真や「こんな綺麗な写真が撮れます」といった文言が並んでいます。
しかし、その「イメージ」がいまいちぱっとしないのがXiaomi。
Xiaomiの商品は無印良品をモデルにしたシンプルなデザインで統一されており、それはスマートフォンも同様。最近でこそお洒落なデザインのものも増えてきましたが、それもどこかポップなデザインになっています。
広告を見ても、Appleのような白背景にシンプルに機種の写真が載っているデザインばかりです。
高級感が感じられないポップなデザインでこんなシンプルな広告を打ったところで訴求力はないでしょう。
ブランドイメージを統一しているという理由がありこのようなことになってしまっているのでしょうが、機種本体のデザインや広告面で他社のスマートフォンに比べると芋臭いと言わざるを得ません。
中身を見るとXiaomiは本当にいいスマートフォンを作っています。
更にはスマートフォンのハードウェアの販売で利益を出す気はないと公言している通り、そんないいスマートフォンを安売りしているのですが、安売り路線もイメージ戦略としては大失敗。
さらにXiaomiは、テレビや洗濯機や炊飯器からスーツケース、ひげ剃り、ソファーや歯ブラシ、ペンなどなど、ありとあらゆるものを販売しています。
テレビはまだいいとして、洗濯機や炊飯器、歯ブラシの横に陳列してある安いスマートフォンなんて買いたいと思いますか?
無印良品の売り場の脇にスマートフォンが陳列されている光景を想像していただくとイメージが湧きやすいと思います。
ちなみに実店舗よりもっと取扱品目が多い公式ネットショップ。取扱品の数々がこちら↓
そんな理由で「大衆向けで面白みがなくダサい安物」中国人はXiaomiのスマートフォンに対してこのようなイメージを持ってしまっています。
例えスペックが優れていたとしても、大多数の消費者は細かいスペックなんて気にしないわけで、スマートフォンを買うならイメージの良いスマートフォン専門のメーカーの物を選ぶでしょう。
このように、Xiaomiはイメージ戦略に失敗しているが故にスマートフォン市場でシェアを落とし続けているのでしょう。
スマートホーム構想がブランドイメージを低下させた
元々Xiaomiはスマートフォンを基盤に急成長した企業。イケイケの頃にスマートホーム構想を立ち上げ、その時期から急激に多角化が進みました。
テレビやエアコン、あらゆる家電をネットワークで接続し、暮らしを便利にしようというのがスマートホーム構想。
このスマートホーム構想は、目先の利益ではなく、数年後かそれ以上先の利益を見込んだ壮大なプロジェクトです。なにしろスマートホームが一般的になり、そのスマートホームの中心にXiaomiが居座るとなればその利益は莫大なものになるでしょう。
例えば他社の製品をXiaomiのスマートホームネットワークに接続できないようにするだけで家電市場を独占できます。別にそこまでしなくとも、Xiaomiのスマートホームネットワークに接続できるライセンスを販売するだけで莫大な利益が生まれます。
しかし、前項で述べた通り、スマートホーム事業に乗り出したことでXiaomiのイメージは失墜し、スマートホームネットワークの核になるはずのスマートフォンが売れなくなってしまいました。
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今後モバイル機器はRedmi、その他の商品はXiaomiとして切り分けていくのではないか
今回のXiaomiブランドとRedmiブランドの分化は、Xiaomiが失敗を認めて大きく戦略を転換してきたのではないかと考えています。
今後Xiaomiは家電や雑貨等を扱う無印良品のようなブランドとして、Redmiはスマートフォンやタブレット、ノートパソコンといったモバイル機器を専門に扱っていくブランドと、はっきり切り分けるための分化だったのではないでしょうか。
今回同時に発表されたRedmiBook14も、本来Xiaomiから販売されているノートパソコンシリーズのMi Airとして発売されていてもおかしくない仕様になっているので、この予想に説得力をもたせてくれているのではないでしょうか。
兎に角ブランド戦略を大幅に転換するのであれば、早ければ早いに越したことはありません。
ということで、ブランドイメージを守るために、例え一部のファンを裏切ることになったとしても心を鬼にした。というのが今回K20とK20ProがRedmiブランドから販売されることになった理由だと考えています。
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コメント
なんか、xiaomiを批判してるみたいでそんなにいい気分ではないですね。
どんどん新しい端末を出していくのは、xiaomiが昔からやっている方法です。
少なくとも、xiaomiファンは文句一つ言わないと思いますよ。
こんにちは。
批判的だと捕らえられてしまったのでしたらすみません。
かくいう私も米粉の一人で、スマートフォンやPC、空気清浄機や炊飯器、果ては小型のセグウェイからネットワークカメラに至るまで、Xiaomi製品に囲まれて生活をしています。
Xiaomi製品を選ぶ理由は兎に角安心できるから。何か必要なものがあったら第一にXiaomiから出ていないかと公式通販をチェックしにいくくらいです。
これまでに一度も裏切られたことがなく、製品の端々を見ると本当にお客さんの目線に立って設計されていることが見て取れます。
兎に角私も全面的にXiaomiのことを信頼しています。
それだけに、ここまで築き上げたブランドの価値を多少なりとも毀損する可能性のあるK20という機種は異質だと感じたので、この記事を書いた次第です。
私も中国人ですけど確かに最近の小米のスマホのイメージはそんなに印象よくないですね。ステータスを大事にする国民性なので。
それに機種の数が多くてわかりにくいですし!(笑)
小米と紅米はHUAWEIとHonorのように両立していく関係になる可能性も大きそうですけどねえ・・・
私も紅米といえば安い、性能は普通!って印象なのでK20には驚きました。
中国のユーザーがこれで納得すればいいけれど、両立していくにしても何かを切り捨てる改革にはなりそうですね。
こんばんは。
はい。例えばHONOR20PROの例からするとHUAWEIとHONORのような関係になる可能性は十分にあると思っています。
もし並列化していくとなると、Redmiに付いてしまっているイメージはHONOR以上にアレなので、厳しい戦いにはなりそうですね。
民間企業として頑張っている小米は私も大いに応援したいし、実際に「買って応援」なんてのもすることになると思います。